まずは今週もニューリリースになった新曲から。アデルのニューアルバム『30』がリリースになりました。
アルバムに収録されている曲は2018年から今年にかけて様々なプロデューサーと共に作られたもの。グレッグ・カースティンやマックス・マーティン、トバイアス・ジェッソ・ジュニアなど過去の作品で既に共演しているプロデューサーも参加している一方で、チャイルディッシュ・ガンビーノの作品を手がけていることでも有名な映画作曲家ルドウィッグ・ゴランソンやUKのバンドSAULT(ソー)のメンバー、インフローなど初の共同作業となるプロデューサーも参加しています。アデルはこれまでのアルバムタイトルに『19』『21』『25』と、自身の人生で重要なことが起こった年齢を付けており、30歳の時に元夫のサイモン・コネッキと破局した事がこの『30』に大きく影響を与えている様です。ちなみに現地時間11月14日には米CBSで最新アルバム『30』の発売を記念した2時間特番『Adele One Night Only』が放送されており、アデルはこの中で「I Drink Wine」と「Hold On」をパフォーマンスしています。
アルバムは全12曲入り。先行でリリースされていた「Easy On Me」の様なバラードも多い一方で、多くの国のSpotify New Music Fridayプレイリストがピックアップしている「Oh My God」の様なアップテンポな曲も収録されています。楽曲「All Night Parking」には、ジャズ・ピアニストの故エロル・ガーナーがクレジットされており、アデルのアルバムの通常盤で名前がクレジットされた初めてのコラボレーターとなりました。レビュー収集サイトのメタクリティックによるとアルバムの平均スコアは89/100。非常に高い数字となっています(2021年11月19日時点)。デイリー・テレグラフやローリング・ストーン誌は星5つをつけています。
現地時間2021年11月14日、カニエ・ウェストが最新アルバム『Donda』のデラックス盤をサプライズリリースしました。カニエの亡き母親の名前がタイトルにつけられたアルバム『Donda』は何度もリリースが延期になった末、今年の8月29日に配信、アメリカ、イギリス両方のチャートで1位を獲得しています。新たに追加されたのは、アンドレ3000とのコラボ曲「Life of the Party」、「Up From The Ashes」「Never Abandon Your Family」、「Keep My Spirit Alive」、「Remote Control pt 2」の5曲。オリジナル盤の27曲に5曲が加わり、全32曲入りになっています。加えてオリジナル版にも収録されていた「Come to Life」には、新たにタイラー・ザ・クリエイターのバックヴォーカルが追加されており、トラックリストはこのデラックス・エディションのために再構成されています。
アンドレ3000との「Life Of The Party」は、以前ドレイクが自身のラジオ番組でリーク、そしてロサンゼルスで開催されたプライベートリスニングパーティーでも披露されていましたが、その後アトランタとシカゴで開催されたリスニングパーティではトラックリストから外れ、最終的にアルバムには収録されなかった未発表曲となります。アンドレ 3000は数年前に同じく母親を失った身として、カニエ・ウエストのアルバム『Donda』のコンセプト に共感しこのアルバムへの参加を決めたものの、この曲にドレイクへのディスが追加されたことが理由に参加を辞退した様です。
フレンチモンタナの4枚目のスタジオアルバム『They Got Amnesia』がリリースになりました。
フィーチャリングゲストとしてジョン・レジェンド、コダック・ブラック、ポップ・スモーク、リル・ダーク、スウィーティー、ドージャ・キャット、コイ・リレイ、タイダラー・サイン、ラト、リル・ティージェイらが参加しています。事前に発表されていたトラックリストには入っていたドレイクとの「Splash Brothers」は今回アルバムから除外されており、代わりにフレンチ・モンタナがソロでパフォーマンスをしている「Fraud」が収録されています。NMEの報道によるとこの判断はドレイクによるもので、アストロワールドでの事故が起こってすぐの今リリースすることが適切でないと考えた模様。今後リリース予定の『They Got Amnesia』のデラックス・バージョンに収録されるのではないかと報道されています。
Drake's collab with French Montana will no longer feature on…
マスクド・ウルフとビービー・レクサのコラボレーションシングル「It’s You,Not Me(Sabotage)」もリリースになりました。
「Astronaut In The Ocean」が今年グローバルヒットを記録したオーストラリアのラッパー、マスクド・ウルフとアメリカのシンガーソングライター、ビービー・レクサがコラボ。本国オーストラリアのSpotify New Music Fridayではアデル、カニエ・ウエストに次ぐ3番目にピックアップされています。マスクド・ウルフは現地時間 2021年11月24日に開催されるオーストラリアで最も権威のある音楽授賞式『ARIAアワード』でソング・オブ・ザ・イヤーやベスト・アーティストを含む5部門にノミネートされています。
その他ケイトラナダのニューEP「Intimidated」、イギリスのヒップホップ・コレクティヴ、ディーブロック・ユーロップのニューミックステープ『Home Alone 2』などもリリースになっています。
それではこの1週間の海外ポップミュージックニュースです。女性R&Bシンガーサマー・ウォーカーのニューアルバム『Still Over It』がUSアルバムチャートを制しました。2018年にデビューし、2019年の1stアルバム『Over It』ではUSアルバムチャート2位を記録していたサマー・ウォーカー。2枚目となるアルバム『Still Over It』で自身初の1位獲得となりました。このアルバムにはカーディ・B、シティ・ガールズのJT、シザ、 リル・ダーク、ファレル・ウィリアムスらが参加。女性R&BシンガーのアルバムがUSアルバムチャートで1位を獲得するのは、2016年10月にソランジュの『A Seat at the Table』以来約5年ぶりとなります。
USシングルチャートには13位にシザとの「No Love」がチャートインしているのを筆頭に、HOT100になんと18曲がチャートイン。女性アーティストとしては、テイラー・スウィフトが2019年のアルバム『Lover』をリリースした時に記録した「HOT100に18曲チャートイン」と並び、史上最多タイとなります。
記録といえばテイラー・スウィフトのニューアルバム『Red (Taylor’s Version)』が、Spotityなどで様々な記録を更新しています。「女性アーティストのアルバムとしてSpotifyで最速1億再生」、「女性アーティストのアルバムとしてSpotifyでの1日の再生数記録を更新(9,080万再生)」、「女性アーティストとしてSpotifyでの1日の再生数記録を更新(1.22億回再生)」など。他にも「US SpotifyソングチャートTOP40にアルバム収録30曲が全てランクイン」「All Too Well (10 Minute Version)がSpotify Globalソングチャートで1位」、「64か国のApple Musicで1位 / 41か国のiTunesで1位」など初動は上々。そして「All Too Well (10 Minute Version)」のショートフィルムを公開。週末にはアメリカの人気バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』で早速この「All Too Well (10 Minute Version)」をパフォーマンスしています。
現地時間2021年11月14日、2021 MTVヨーロッパ・ミュージック・アワード(MTV EMA)がハンガリーのパップ・ラズロ・ブダペスト・スポーツアリーナで開催されました。MTV EMA は年間の最も優れたミュージックビデオやアーティストを決定するヨーロッパ最大級の音楽授賞式です。今年、ハンガリーでは18歳未満の児童が学校教育の現場で同性愛や性転換などのトピックを話題にすることや、メディアがそれらのコンテンツを配信することを規制する「反LGBTQ法案」が可決されましたが、2021年度のMTV EMAはこのハンガリーでLGBTQ+コミュニティの擁護をテーマに掲げ開催。「最優秀グループ賞」、「最優秀ポップ賞」、「最優秀K-POP賞」、「ビゲスト・ファン賞」の4部門を受賞したBTSが最多受賞となりました。エド・シーランは「最優秀アーティスト賞」と「最優秀楽曲賞」の2部門を受賞しています。エド・シーランは授賞式で「Overpass Graffiti」をパフォーマンスしました。
MTVビデオ・ミュージック・アワード(MTV VMAs)と同じく最優秀ビデオ賞はリル・ナズ・Xが受賞。今年司会を務めたスウィーティーは、オリヴィア・ロドリゴを下し、最優秀新人賞に輝いています。
ガール・イン・レッドもパフォーマンス。
今年最多となる8つの賞にノミネネートされていたジャスティン・ビーバー、5部門の候補に挙がっていたザ・キッド・ラロイは、無冠に終わっています。受賞者リストはこちらから。
現地時間11月14日(日)、ハンガリーのブダペストにて2019年以来の有観客で開催された<2021 MTV EMAs>授…
テネシー州メンフィスを代表するラッパー、ヤング・ドルフが、現地時間11月17日に銃撃され死去したことが明らかになりました。享年36歳。報道によると、Young Dolphはお気に入りだったメンフィスのクッキー店に昼過ぎに立ち寄ったところ、何者かが車で接近して銃撃。到着した警察にその場で死亡が確認されました。ビルボードJAPANによると、ヤング・ドルフが昨年リリースした楽曲「RNB」にフィーチャーされていたメーガン・ザ・スタリオンは、ヤング・ドルフの写真をインスタグラムに投稿。「私を知っている人なら誰もが、私がこの人の音楽を毎日流していたと知っているでしょう!彼は本当に誠実で、すごくリアルで、私と(マネージャーの)T.ファリスにとても親切にしてくれました。真のレジェンドよ、安らかに眠ってください!」と綴っています。
ここからはショートニュースで。2022年2月13日に行われる第56回NFLスーパーボウルに先駆けて、人気アーティストが多数出演する2022 Super Bowl Music Festが開催されることが発表されました。2019年の初開催時には、ブルーノ・マーズ、カーディ・B、ポスト・マローン、エアロスミス、マルーン5、ダン&シェイ、デミ・ロヴァートらが出演し、昨年はガンズ・アンド・ローゼズ、DJキャレド、ミーク・ミル、ダベイビー、メーガン・ザ・スタリオンらが出演しています。今年はグリーン・デイ、マシンガン・ケリー、マイリー・サイラス、ホールジーなどの出演が発表されています。
アバの40年ぶりの新作『Voyage』が記録的な売上でUKアルバムチャート1位になりました。発売日の11月5日から7日間で20万4000枚の売り上げを記録しており、イギリスでは先週リリースされたエド・シーランの『=(イコールズ)』を超え、2021年のアルバム最速セールスと最大の初週売り上げを達成しました。ちなみにこれは4年前のエド・シーランの『÷(ディバイド)』以来の初週売り上げ枚数となっています。USアルバムチャートでも2位になっていますが、なんとこれがキャリア史上最高の順位。通算9枚目のスタジオアルバムで初のUSアルバムチャートトップ10作品となりました。アバはこの『Voyage』に収録している「Little Things」をグループ初のクリスマスシングルとして、フィジカルで12月3日にリリースすることを発表。クリスマスをテーマにしたミュージック・ビデオも公開予定です。
ABBAの40年ぶりの最新アルバム『Voyage / ヴォヤージ』が初週で20万4,000枚の売り上げを記録し、自身10…
2019年12月8日に亡くなったラッパーのジュース・ワールドによる、死後2作目となるアルバム『Fighting Demons』が2021年12月10日にリリースされることが発表されました。既に先行シングル「Already Dead」が配信されています。